アブリスボ:妊婦さんが赤ちゃんのために接種するRSウイルスワクチン
RSウイルスは呼吸器感染の原因となり、生後2歳までに100%近くが感染します。乳幼児の肺炎の半数、細気管支炎の半数~9割がRSウイルスによるといわれています。
症状は軽い風邪症状~肺炎・細気管支炎まで様々ですが、特に生後6ヵ月以内の赤ちゃんや、早産で生まれた赤ちゃん、基礎疾患のあるお子さんが感染すると重症化することがあり注意が必要です。無呼吸や低酸素症、急性脳症などの合併症を起こし人工呼吸管理や集中治療が必要となることもあります。
日本では年間12~14万人の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、3万人が入院を必要としますが、有効な治療薬はありません。生後1~2ヵ月が入院のピークとなるため生後早期からの予防が重要になります。
生後数ヵ月の赤ちゃんは免疫が未熟でワクチンを接種しても抗体が作られにくく、母体から胎盤や臍(さい)帯を経由してもらった抗体で病原体による感染を防いでいます。母子免疫(受動免疫)といって、赤ちゃんが自分で十分な量の抗体をつくれる生後6ヵ月くらいまで効果があります。
この母子免疫のはたらきを利用して、妊婦さんが赤ちゃんのために接種するRSウイルスワクチン「アブリスボ」は妊娠28週~36週の接種が有効性が高いといわれています(妊娠24週から接種はできます)。
接種回数は1回で、現時点で公費の補助はなく、当院では自費33,000円になります。